キミの愛情120%
「……ていうか、そんな面倒くさいことしないで、先輩も本命の好きな子作ったらいいじゃないですか」
腹が立ったから言ってやった。
女の子を悲しませたくないからって、先輩が自分から一人になる必要はないでしょ。
みんなと仲良くしたい気持ちはわかるけど、本気で好きな子ができたらそんなの気にならなくなっちゃうと思うんだけど。
先輩はゆったりした動きでリナの隣に腰掛けた。
「んー? んー、そうだねえ。俺も、それができたら一番いいと思ってるんだけどね」
先輩は自嘲するように小さく笑って、言った。
「誰かを本気で好きになったこと、ないんだよね。そういう感情が欠落してる人間なのかも。俺」
――先輩、が?
思いもよらない言葉が先輩の口から出てきて、一瞬頭が混乱した。
「……そんな、こと」
ないですよ、とは言えなかった。
言えるほど、リナはこの人のことを知らないからだ。
結局、うつむいて空になったカフェラテを見つめることしかできなかった。
そんなリナに、先輩が「いきなり暗いこと言ってごめんね。気にしないで」と優しく笑いかける。