キミの愛情120%


……先輩の知らない一面を見てしまった。

ショッピングモールで聞いた、先輩と話すサオリさんの声を思い出す。

――楽しそう、だったなあ。




「里菜ちゃんは?」

「え?」

「なんで一人でカフェにいたの。彼氏は?」

「……えっ!?」


見られてたの!?

驚いて思わず立ち上がったリナを見て、先輩がいつものようにケラケラ笑う。

……あ、いつもの先輩に戻った……。


「ショッピングモールいたでしょ? そのときちらっと見かけただけだから」

「あ、なるほど……」

「言いたくなかったら言わなくていいよ。ただ、俺の話聞いてもらったし、どうかなと思って」

「……聞いてほしい、です」


これは素直な気持ちだった。

マルとチョコちゃんには話せないし、そうなると友達の少ないリナにはこのモヤモヤを吐き出す相手がいない。


『松原先輩の100倍誠実な彼氏作る』と宣言しておいて本人に情けない結果をさらすのはどうかと思ったけど、それより普通につらかった。この際誰でもいいから話を聞いてほしい。


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