キミの愛情120%


短い恋の終わりに嘆きながらメイクを直し、下駄箱でマルのスニーカーを戻していたら、「里菜ちゃん」とつい20分ほど前にも聞いた声に呼ばれた。


『今から帰り?一緒に帰ろ』

『……あの人たちは、大丈夫なんですか?』

『うん。少し話したら落ち着いてくれたよ。魔が差しただけだから、里菜ちゃんにも謝りたいって言ってた』

『そうですか……。だったらよかったです』



すごいな。

それが心からの謝罪かはともかく、この短い時間でその言葉を引き出して落ち着かせた松原先輩が素直にすごいと思った。

助けてもらったお礼を言ってから、先輩と並んで校舎を出る。


『でも、さすがにビビったな~。里菜ちゃんがあの二人の襟首つかんでるの見たときは衝撃的過ぎて幻かと思った』

『わっ、忘れてくださいそれは……!』


ホント最悪!ああ終わった、蚊も殺せないきゅるるん美少女リナのイメージもろとも終わった!

先輩がアハハと面白そうに笑う。

幻滅されたかな……。もういいや。どうにでもなれ。どうせ終わった恋だ。


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