キミの愛情120%
屋上前階段にむなしい沈黙が落ちる。
「……ぷっ」
やがて沈黙を破ったのは、リナだった。
「あはははっ! 『女の子は肯定されたい生き物』って……! あははは!」
「えっ、岸本さん……?」
「だからずっと『里菜ちゃんなら似合うと思うよ』って言ってたんだ。あははは、お腹いたーい!」
あんなに悩んでいたのが馬鹿みたいだ。
リナも長谷部くんも、完全な空回り。独り相撲もいいところだ。
つまんなかったデートの原因が斜め上の方向で、可笑しくて笑ってしまった。
お腹を抱えて笑い転げるリナを、男子二人がぽかんとして見ている。
「……き、岸本さん。俺、今度こそ失敗しないからさ。もう一回チャンス、くれない……?」
「え? ううん、別れよ」
「ええ!?」
ウケたからOKじゃないよ。何言ってるんだ。
スッと真顔に戻ったリナを見て、長谷部くんがうなだれる。そのまま彼の前に近づいて、目線を合わせた。