キミの愛情120%
我ながら意味わからん。なんで泣くんだ。リナ史上最高に爽やかな別れだったのに。
なんで涙が出るんだろう。
あと腐れなく、未練もない、一ミリの後悔もない。いや嘘。『もう一度チャンスくれ』って言われたとき一瞬ぐらついた。
クリスマスも一緒にいてくれるかもって思ったから……。
「そこのおじょーさん」
すると、声とともに突然影が覆いかぶさってきた。
顔をあげて見えたのは、リナを背後から見下ろす松原先輩だった。
なんで……。
先輩はにっこり笑うと、リナの隣にどかっと腰を下ろしてくる。まるで、この前のリナみたいに。
「お兄さんが抱きしめてあげよーか」
「いらないです」
前言撤回。リナはこんなセクハラ野郎みたいな慰め方はしなかった。
「じゃあ何して欲しい?」
「なんもしないで欲しい」
「キスしたら涙引っ込むかもね」
「馬鹿じゃないの……」
ずず、と鼻をすすって、いつの間にか近づいていた身体をぐぐぐと押し退ける。
先輩はどこか安心したような顔で「冗談」と笑った。最低。クズ。百回死んで地獄落ちろ。
……でも、おかげで涙はひっこんだ。