キミの愛情120%
「喧嘩別れしちゃったの?」
「いえ……すごーく爽やかに別れました」
「でも泣いてるんだね」
「……わかんない。なんで泣くんだろ。上手くいかなかったからかな……」
リナも長谷部くんも、きっと素敵な彼氏彼女になれると思って付き合ったのに。
結局見ていたのは自分たちの中の『彼氏』『彼女』像で、お互いのことを全く見てなかった。そんなむなしい関係しか築けなかったのが、寂しいのかも。
リナは、リナが心から好きだと思った人にしか興味が持てない。
昔からそうだ。
興味がないから話についていけない。当たり障りない返事、愛想笑いしかできない。なのに空気だけ読もうと必死になって、空回って、流されて。嫌われる。
「ほんと、ばっかみたい……」
「……どんな関係でも、せっかくできた縁が無くなっちゃうのは悲しいもんだよ」
縁か。
先輩も、悲しいって思ったのかな。
ローズの香りが好きな、サオリさんとの縁が切れたこと……。
遠くで、昼休みの終わりを告げる予鈴の音が聞こえた。
でも先輩はここから動く気配がない。