キミの愛情120%
「……昼休み、終わりましたよ」
「俺は次自習だから大丈夫~。さぼっちゃお」
ホントかな。
リナは自習じゃないけど、こんな泣きはらした顔で教室には戻れない。先輩には悪いけど、戻らないでくれて助かった。
その後は先輩と他愛ない話をして過ごして、いつのまにか次の予鈴が鳴ってハッとした。
「……もどらなきゃ。先輩、リナの顔どうですか」
「ん? 超可愛いよ」
「ち、ちがくて! 泣いてたのわかりますか?」
「んー、大丈夫じゃない? 眠かったから保健室で寝てたっていえばなんとかなりそう」
「よし。その作戦でいきます」
立ち上がろうとしたとき、近くから「里菜―?」というマルの声が聞こえてきた。
えっ、もしかして探しに来てくれた?
どうしよう、保健室で寝てた作戦が使えない。なんて言い訳すればいいんだろう。
頭がパニックになった、その瞬間。
――え?
先輩に、ぎゅっと抱きしめられた。
「里菜? ……うわっ。松原先輩」
マルの声がすぐ近くで聞こえたけど、先輩に強い力で抱きしめられていて、先輩の学ランの胸ポケットしか見えない。