キミの愛情120%


だって、ハーレムじゃ、ないじゃん。

この前の話ぶりからして、あれでしょ?


ふたりきり、なんでしょ?


「俺なら別に、わざわざ彼氏にならなくても一緒にいて不自然じゃないし? 里菜ちゃんはクリスマスの予定を埋められて、俺はひとりぼっちを回避。いいことしかないじゃん」

「………で、でも……」


自分でもわかるくらい熱くなっている顔に、先輩が気づいてないわけがない。

リナが何を考えているのか、何にためらっているのかわかってるはずなのに。



「……どしたの、里菜ちゃん。なにか問題ある?」



この男は、極上の甘い笑顔と声をもってして、リナの恋心を否定するんだ。


リナは、クズだからこの男が嫌いなんじゃない。


『俺さ、彼女作んない主義なんだよね』

『里菜ちゃんは、俺のこと好きにならないでしょ』

『キスしたら涙引っ込むかもね』

わざわざ先回りして、リナの恋心を折っていく。キスする気なんかないくせに、リナが拒否するのをわかってて、拒否してほしくて言ってくる。そういうところが。


< 87 / 274 >

この作品をシェア

pagetop