キミの愛情120%
だって、ハーレムじゃ、ないじゃん。
この前の話ぶりからして、あれでしょ?
ふたりきり、なんでしょ?
「俺なら別に、わざわざ彼氏にならなくても一緒にいて不自然じゃないし? 里菜ちゃんはクリスマスの予定を埋められて、俺はひとりぼっちを回避。いいことしかないじゃん」
「………で、でも……」
自分でもわかるくらい熱くなっている顔に、先輩が気づいてないわけがない。
リナが何を考えているのか、何にためらっているのかわかってるはずなのに。
「……どしたの、里菜ちゃん。なにか問題ある?」
この男は、極上の甘い笑顔と声をもってして、リナの恋心を否定するんだ。
リナは、クズだからこの男が嫌いなんじゃない。
『俺さ、彼女作んない主義なんだよね』
『里菜ちゃんは、俺のこと好きにならないでしょ』
『キスしたら涙引っ込むかもね』
わざわざ先回りして、リナの恋心を折っていく。キスする気なんかないくせに、リナが拒否するのをわかってて、拒否してほしくて言ってくる。そういうところが。