キミの愛情120%


この前ショッピングモールで偶然会ったサオリさんは、先輩といるとき、とても楽しそうだった。

あの短い会話だけで痛いほどリナにも伝わった。だから二人の会話をよく覚えてる。


先輩が、サオリさんの好みの香りをよく知ってること。おそらく過去のデートで同じ香りのハンドクリームを買ったことを、先輩が覚えてたこと。先輩がサオリさんの好きそうなローズティーのカフェを事前にチェックしてたこと。


日頃から先輩がサオリさんのことを気にかけているからできることだ。

先輩は普段、そんなふうに誰かを喜ばせることを考えて生きてるんだ。しかも特定の一人だけじゃなくて、いろんな女の子に対して。



「……先輩は、女の子を喜ばせる天才ですね。皮肉じゃなくて、ホントにそう思います」



素直に感心してそう言うと、先輩は意外という顔をしてリナを見た。

「……里菜ちゃんにまともに褒められたの初めてじゃない?」

「えー、そうですか?」

「そうだよ。最近はすぐクズとかウザイとか言うから……」

お兄さん悲しい、と泣き真似してみせる。自業自得だろ、何言ってんだ。



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