リフレインが聴こえない
プロローグ
 ひとめぼれ。

 なんていうものが。


 そんなものが。

 本当にあるなんて、思わなかった。

 わたしの場合は――歌だった。

 その歌を聴いた瞬間。
 まるで、心臓をわしづかみされたみたいで。
 胸が、キュッと痛くなった。

 染み入るような低い声に。
 なぜか、懐かしいようなあたたかいもので。
 胸があたたかく、いっぱいになった。




 どこからか、歌が聞こえる。


 わたしは、その歌に、ひとめぼれをした。
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