リフレインが聴こえない
 朝から考えごとをしていたわたしは、ぼんやりしながら登校して、教室に入る。

 わたしよりも先にきていた秋ちゃんが、笑顔で手を振ってくれた。
 まだこの学校に慣れていないわたしは、それだけでホッとする。

「おはよう、秋ちゃん」
「菜花ちゃん、おはよう」

 それから秋ちゃんは、気がついたように、わたしに教えてくれた。

「転校早々だけれど、今日は菜花ちゃんが日直なの。大丈夫?」
「日直!」

 わたしは、すぐにうなずいた。

「たぶん、大丈夫だと思うけれど。どこの中学校でも、することは同じだよね? 授業の終わりに黒板を消したり、日誌を書いたり」
「うん。もうひとりの当番は、サボりの男子だから、ちょっと負担が大きいかも」
「あ~。サボり男子かぁ……」

 苦笑いを浮かべてみせる。
 でも、すぐにわたしは、にこっと笑った。

「任せて。大丈夫よ」
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