リフレインが聴こえない
 わたしと秋ちゃんの話に、蒼くんが入ってくる。

「高校生や大学生が遊びに行くとなると、電車に乗って、もっと違う場所に行くんだろうけれど。どう? ふたりで行こうよ」
「ふたりで……」

 でもまだ、蒼くんの横に並んで街を歩く自分の姿が、想像できない。
 だって、絶対女の子たちの注目を浴びるであろう、ステキな蒼くんだもの。
 目立つ蒼くんのとなりを歩くわたしを見たら、指をさされて笑われそう……。

 ジッと考えこんだわたしの気持ちを、秋ちゃんは察してくれたようだ。

「たぶん菜花ちゃんは、ふたりでデートって、まだハードルが高いと思っているんじゃないかなぁ。たとえば、ダブルデートってどうなの? 集団デートとか」
「ダブルデートか……」
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