リフレインが聴こえない
 蒼くんは、あごに指をそえて考える。
 そして、ちらりと甘やかな流し目を、秋ちゃんに送った。

「ちなみに、きみが彼氏を連れて、ぼくたちと一緒に遊びに行ったりは……」
「あ~、ないない。わたしには彼氏がいないもの。それに中学生で、決まった恋人がいるって、まだ珍しいんじゃないかなぁ?」
「そうか。それは残念だなぁ」

 あっけらかんと秋ちゃんに返され、蒼くんは、う~んとうなる。
 ああ、このままじゃあ、ふたりきりでデートになっちゃいますか?

 そんなわたしの表情を読んだのか、蒼くんは立ちあがりながら、ふわりと笑った。

「よし。わかったよ。菜花ちゃんを不安にさせるわけにもいかないし。こっちでもう一組の用意をするから。ね? 次の土曜日、約束だよ」
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