リフレインが聴こえない
 音楽を邪魔しないように、わたしはひそひそとした声で、秋ちゃんに話しかける。

「この中学校って、昼休みに音楽が流れているんだ?」
「うん。放送部がね、曜日ごとに担当を決めてね」
「放送部……」

 放送部といえば……。

「たしか、生徒会の副会長の大神くんが、放送部って聞いたかな」

 わたしの言葉に、秋ちゃんはうなずいた。

「うん。そうそう。今日は大神くんの担当じゃないかな。彼の放送日は、洋楽が多いよね。一年生女子の担当日は、男性アイドル系だからすぐわかるよ」

 秋ちゃんは、笑いながら言った。

 そうか。
 大神くんは、好きな曲がかけられるから、放送部に入っているって言っていたっけ。
 たしかに、これはいいかもしれない……。
< 113 / 227 >

この作品をシェア

pagetop