リフレインが聴こえない
 土曜日の朝。
 わたしは気合を入れた服で、鏡の前に立つ。

 秋っぽく茶系のブラウスに、白い大きめのベスト。
 黒いロングスカートに、歩きやすい白の運動靴。
 持っているなかで、これがわたしの精一杯だ。

 お気に入りの猫ちゃんハンカチとちり紙、お財布を入れたポシェットを、斜めがけにして完成。

 家を出たわたしは、緊張しながら待ち合わせ場所へ向かう。
 待ち合わせは、その商業施設の門の前に11時。
 あらかじめ、秋ちゃんに地図を書いてもらっていたから、迷うことなく向かう。

 そんなわたしの頭の中は、蒼くんのラブソングだ。
 いつもの旋律が、ずっとリピートして流れている。
 リズムに合わせて、歩調もゆったり。

 わたしが時間ちょうどに到着すると、蒼くんが手を振っていた。
 そのとなりには、妹の美来ちゃんと、大神くんの姿が。

 うん、蒼くんが声をかけるとしたら、そうなるよね。
 知ってた!
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