リフレインが聴こえない
「それじゃあ、さっそく行こうか」

 蒼くんが、嬉しそうにわたしへ、右手を差しだした。
 そして、あっという間もなく、わたしの左手をつかんで歩きだす。

「んふふ。ねえ瑛太、わたしたちも手をつなぐ?」
「遠慮する。その意味がわからない」
「んふふ」

 後ろから見ている美来ちゃんの、楽しげな笑い声が聞こえてきて、わたしは一気に頬が熱くなった。

 ふたりきりが恥ずかしいと思って、ダブルデートを希望したけれど。
 妹ちゃんと大神くん、ふたりに見られているのも、恥ずかしいな……。

 蒼くんの手。
 男の子らしい、大きな手。
 気にしたら、もっと意識しちゃう。
 だから、できるだけ考えないようにしなきゃ。
 ああ、初デート。最後まで心臓が持つだろうか。
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