リフレインが聴こえない
 ちらちらと周りから見られている気がするのは、やっぱり、カッコイイ蒼くんだろう。
 当の本人は、見られていることに慣れているのか、わたしに、手をつないでいないほうの手で店頭を指さす。

「あれ、あの服って菜花ちゃんに似合いそう」
「え、そうかな?」
「うん。あ、あのコートも、いい感じだな」

 こういうデートで、お互いの好みがわかっていくんだなと、わたしは笑顔でうなずいていると、催し会場の前に出た。

「へえ、いま、お化け屋敷をしているんだ!」

 ふいに声をあげると、蒼くんは、いそいそと近寄っていった。
 蒼くんは入場料の確認をしながら、興味津々で眺める。
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