リフレインが聴こえない
 出口を出てから目を開けると、とてもまぶしかった。

「ああ、無事に出られた。よかった……」

 力なくつぶやくと、先に出ていた美来ちゃんが、つつつっとわたしの横へ寄ってきた。
 ニコッと笑いながら、耳もとでささやいてくる。

「すごく怖かったよね~。わたしも、おにぃの服につかまって、ずっと顔をあげられないまま出てきたよぉ」
「ああ、美来ちゃんも? そうだよね、怖かった……」

 そういいながら、あれ? っと思った。

 それじゃあ、蒼くんは、美来ちゃんと出口までたどり着いたあと、探しに戻ってきてくれたのだろうか?
 ああ。蒼くんに、そんな二度手間をさせてしまったのなら、そりゃあ不機嫌にもなっちゃうよ……。
< 126 / 227 >

この作品をシェア

pagetop