リフレインが聴こえない
「あ、でも、むずかしそうな場所にあるし、べつにいいよ」

 わたしは慌てて、蒼くんの腕を引っ張って、ゲームの前から移動する。
 実際に、素人のわたしからみて、とても取れそうに思えない場所だ。

「え~。遠慮しなくていいのに」
「ううん。大丈夫、ここは眺めているだけでも楽しいから」

 なんて言って。
 わたしは、蒼くんに笑顔を向けた。

 本心は、ほしいなあって思ったけれど。
 あれは絶対、取るのがむずかしい気がする。
 蒼くんに散財なんてさせられないよ。

 けれど……。
 こういうゲームの景品って、非売品なんだよね……?
 どこにも売っていなくて、タイミングを外したら、もう出会えないモノなんだよね……。

 わたしは、ちょっと名残惜しげに振り返った。


 そのあとは、エアーホッケーというゲームで、ダブルスで遊んだり、ワニを叩くゲームで遊んだり。
 点数を競うゲームになると、蒼くんがムキになって大神くんとするのを、わたしと美来ちゃんは並んで見ていた。

「ほらぁ、このふたり、すぐ白熱するのよね」
「本当ね」

 わたしと美来ちゃんは、顔を寄せて笑いあった。
 うん。とっても楽しいな。
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