リフレインが聴こえない
 体育祭まで、あと二日に迫った。

 今日の蒼くんは、生徒会ではなく部活のほうに参加しているので、わたしは自転車置き場の近くで彼を待つ。

 待っているあいだに、わたしは思わず鼻歌を歌う。
 もちろん、あの曲。

 蒼くんは、あれからわたしに、あの歌を歌ってくれない。
 わたしが歌ってほしいと、ねだるのも恥ずかしいし、そのタイミングがつかめない。

 だから、うろ覚えになってきているけれど、最後のフレーズだけは忘れない。
 なので、鼻歌で歌って彼を待つ。

 はやく蒼くん、こないかな?

 そう思いながら、あの旋律を繰り返していたら。
 急に横から、肩をつかまれた。
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