リフレインが聴こえない
 いよいよ体育祭は明日に迫った。

 天気は晴れの予報。
 授業は六時間目まできっちりあって、わたしは放課後、図書室の貸し出し係。

 図書室で読んだり物色したりする生徒はそこそこいるけれど、本を借りるのは、そんなに時間がかかるものでもない。
 なので、わたしは受付の席に座り、ぼんやりと図書室の中を眺めている。


 大好きな本のにおい。
 ゆっくり流れる時間。
 心地よい音楽。


 そう、気がつけば、放課後の放送では、ボリュームをしぼった小さな音で、ゆるやかに音楽が流れていた。
< 153 / 227 >

この作品をシェア

pagetop