リフレインが聴こえない
 わたしの視線に気づいた双葉が、振り返って大声で言った。

「あたしのお題は、あたしが好きなひと、なの。だから蒼くんじゃなきゃダメなんだし! それに、早い者勝ちで、もう先に蒼くんからオーケーをもらっちゃったもんね!」
「ちょっと待てって。菜花ちゃんの紙には、菜花ちゃんを好きなひとなんだろう? だったら、ぼくじゃなきゃ」

 蒼くんが、この状況の意味に気がついて、双葉に断ろうとしている。

 けれど。

「ダメ! 先にあたしにオーケーをしたじゃない? ルールでしょ? 競技でルールを無視する気?」

 双葉が叫んだ。
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