リフレインが聴こえない
 先に双葉と走るって約束をしたのなら、変更は無理だろう。
 ルールは、ルール。
 守らなければならないものだ。

 蒼くんの腕に抱きついた双葉は、わたしのほうへ振り返る。

「あたしが好きなひとは、蒼くんだけ! でも、あんたを好きなひとなら、なにも蒼くんひとりってわけじゃないでしょ!」

 そう言って、双葉はわたしを睨みつけた。

 その理屈は、わかる。
 双葉の好きなひとはひとりだけで、絶対、ほかに探しようがないんだもの。

 でも、わたしは?

 蒼くんと、交際がオープンである、わたしは?
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