リフレインが聴こえない
 ようやく、わたしと大神くんはゴールまで走り終える。
 4着だったけれど、どうにか競争を終えることができた。

「お疲れ」

 手首をつかんでいた手を放し、そうつぶやいた大神くんは、すぐに生徒会席へ駆け戻った。

 その後ろ姿を、ぼぅっと見送ったわたし。
 彼に、お礼の言葉を伝えそこねてしまった……。


 ――ああ、わたしはまた、大神くんに助けられたんだ。
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