リフレインが聴こえない
 大きく息をついて、涙が残らないように、手の甲で目をこする。
 そして、わたしは走り終えた列に並ぼうと振り返って。

 そこに立つ、蒼くんの視線に気がついた。


 ジッと、わたしを見つめる目。
 いつもの華やかさはなくて、怖いくらいの目。


 成り行きとはいえ、大神くんと走った後ろめたさがあったせいだろうか。
 わたしは、思わずうつむいて、彼からの視線から逃げてしまった。

 だって、仕方がないじゃない?
 蒼くんは、別の女の子と走ってしまったんだもの。
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