リフレインが聴こえない
「菜花ちゃんは彼氏しか、目に入っていないかもだけれど、敵だからね」

 顔を寄せた秋ちゃんが、冗談めかしてわたしに言う。

「やだなあ、秋ちゃん。わかっているって」

 そう言って、わたしは味方側の騎馬の大将へ視線を向けた。
 その瞬間、どきんと心臓が高鳴る。


 動悸をおさめるように、思わず胸を両手で押さえた。

 紅組の大将は、大神くんだ。
 赤のハチマキをなびかせて、前方を見つめている姿から、目が離せない。

「ふふ。生徒会長と副会長の戦いだわぁ」

 無邪気に、秋ちゃんがわたしの横で声をあげた。
 わたしは、応援をしたいのに、声がでない。
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