リフレインが聴こえない
 体育祭が終われば、二学期最後の期末考査までイベントがない。

 わたしは、図書室の貸し出し係の仕事へ行く前に、急いで、男子テニス部が練習をしているコートをのぞきに言った。

 蒼くんの彼女なのに。
 考えてみたらわたしは、一度も蒼くんの練習風景を見たことがなかったから。


 フェンスに囲まれたコートが見えるところまでくると、そこには女子が数人、練習を眺めるように集まっていた。
 よく見ると、三姉妹率いるファンクラブだ。

 練習の邪魔にならないようになのか、大声で歓声をあげるわけでもなく、みんな食い入るように見つめている。
 その視線の先は、蒼くん。
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