リフレインが聴こえない
「あ、ありがとう。とっても可愛い……」

 わたしがつぶやくと、蒼くんは、そのピンをつまみあげた。
 そして、わたしの前髪を片方へ寄せると、そのピンを並べて留めていった。

「わあ、菜花ちゃん、似合うよ。可愛い」

 秋ちゃんが、心から褒めてくれる。
 その言葉に、わたしは照れてうつむく。

「蒼くん、大切にするね……」
「喜んでもらえたようで、嬉しいなあ」

 満足げに笑顔で蒼くんが言ったとき、昼休みが終わるチャイムが鳴った。


 蒼くん。
 可愛いプレゼント、ありがとう。

 でも、本音はやっぱり、あの歌を――オリジナルのラブソングを、歌ってほしかったかもしれない。

 それだけで。
 本当に、それだけで。
 揺らぐわたしの気持ちが、ちゃんと蒼くんのほうに向くと思ったの……。
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