リフレインが聴こえない
「目で追うのは、たぶん、おまえの行動が危なっかしくて」

 大神くんの言葉に、横顔に見とれていたわたしは、ハッと我に返る。

「わたし、危なっかしい? そりゃあ、迷子になったり、三姉妹に絡まれたり、絡まれたり、絡まれてばかりだけれど……」

 ああ、たしかに、危なっかしさしか、ないかも。
 シュンとしてしまったわたしに、大神くんは続けた。

「蒼の妹の美来って、見た目も性格も可愛いけれど。おまえは、なんていうか……。見ていて、おもしろいなって思うときがあって。おまえからジッと見つめられたら、ずるいって思うくらいに、可愛いときがある」
「え? それって、どういう意味……?」

 慌てて口もとを片手でおおった大神くん。
 そして。

 なんとも言えない、切なそうな表情を浮かべた。

「うるせえな。いま言ったこと、なし。忘れろよ。おまえは、蒼の彼女なんだから」

 そのひとことで、わたしは、一気に現実に引き戻される。
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