リフレインが聴こえない
 思わず顔を両手でおおったとき、リーダーが叫んだ。

「やっちまえ!」

 その声を合図に、高校生のひとりが工事現場に落ちていた角棒を拾い上げ、蒼くんへ振りおろした。

 怖くて顔をおおったけれど。
 やっぱり気になって指のあいだから、蒼くんを覗き見たわたし。

 振りおろされた角棒は、蒼くんに届く前に、あとからやってきた大神くんに止められていた。
 そのまま大神くんは、角棒を持っていた高校生を蹴り倒す。

 ――ああ。
 大神くんも、助けに来てくれたんだ!

 わたしはもう、大神くんの姿から、目が離せない。
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