リフレインが聴こえない
「瑛太、おそいな。先に到着したぼくの勝ち」
「悪いね。蒼よりも遠いところにいたから」

 嬉しそうな表情を見せた蒼くんは、帽子のつばをくるっと後ろに回す。
 大神くんはため息をつきながら、眼鏡をはずした。
 オリーブドラブ色の瞳を細める。

 そんなふたりを、残りの高校生が取り囲み、そして、一斉につかみかかった。

 高校生たちの拳をかいくぐった蒼くんと大神くんは、わたしが口をおさえて絶句しているあいだに、彼らを叩き伏してしまった。
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