リフレインが聴こえない
 余力のありそうな微笑を浮かべて、蒼くんは言う。

「ああ、高校生のおにーさんたち、見たことある顔だね。もしかして、空手でも習ってた? おや、駅前の空手道場に習いにきて、すぐに音ねをあげてやめていったおにーさんに似ていたかな? ごめんね、空手の中学生の部、地区大会優勝・準優勝のふたりが相手で。でも、ケンカでも中学生に負けたなんて言えないよね」

 美来ちゃんが、唖然と見つめているわたしにささやく。

「おにぃと瑛太が、小学校にはいったころから空手をはじめて競っているって、前に言ったこと、あるでしょ? 空手、いまでも続けていて、この辺りでは負けなしなのよ」
「はあ、意外と格闘系……」

 わたしの言葉に、美来ちゃんは笑った。
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