リフレインが聴こえない
 蒼くんと大神くんは、倒れている高校生たちをまたいで、わたしと美来ちゃんのほうへ駆けてきた。
 そして、蒼くんは美来ちゃんの前で片膝をつくと、手を差しだす。

「美来、大丈夫だったか?」
「うん」

 ホッとしたような表情になって、美来ちゃんはうなずく。
 そして、蒼くんの手にすがって立ちあがった。

 美来ちゃん、わたしよりしっかりしているように見えていても、やっぱり怖かったのだろう。
 年上のわたしがもっと、美来ちゃんを励まさなきゃいけなかったのに。
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