リフレインが聴こえない
 そんなわたしも、急いで立ちあがる。
 そのとき、少しよろけてしまったけれど、そばに立った大神くんが、無言で支えてくれる。

 こんなときなのに、触れられるだけでどきんとする。
 お礼を言う間もなく、すぐに、その手は離れた。

 蒼くんが、わたしのほうへ顔を向ける。

「菜花ちゃん、大丈夫だった? ケガはない?」
「え、あ、うん……。助けにきてくれて、ありがとう……」

 慌てて笑顔を作り、わたしはうなずいた。
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