リフレインが聴こえない
 蒼くんは、朝礼台の上からショコラブラウン色の瞳で、わたしをまっすぐに見つめて言った。

「菜花ちゃん、いままで嘘をついていてごめんね。きみを、自由にするよ」

 そういった蒼くんは、口調を変えて続ける。

「ぼくからは以上! それじゃあ、次は、風紀委員」

 続いて風紀委員が朝礼台にあがり、風紀検査がはじまるけれど、生徒間のどよめきは、なかなかおさまらない。

 集会が終わって、教室に戻るときには、みんなの注意はわたしからそれていたけれど。

 蒼くんがついた嘘って、なに?
 本当に、わたしと蒼くんは、これでいいの?
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