リフレインが聴こえない
エピローグ
「蒼くんがテニスコートで、いまから練習試合だって！」

　歓声をあげて廊下を駆けていくのは、蒼くんのファンクラブの女の子たちだ。

　もう少ししたら、二学期の期末考査。
　そろそろ部活の禁止週間になる。

　わたしは、貸し出し係をするために、図書室へ向かって歩いた。

「菜花ちゃんが転校してくる前に、戻ったみたい」

　秋ちゃんが言った。
　蒼くんが彼女持ちになっていたあいだは、ファンクラブの活動が控えめだったらしい。
　けれど、いまは活動も活発化して、部活の声援も増えているそうだ。

　蒼くんもフリーなので、彼女たちに満面の笑顔で手を振っている。
　蒼くんにとっては、この状態が日常であり、一番似合っている状況なのではなかろうか。
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