リフレインが聴こえない
 図書室には、いまはもう誰もいなかったので、わたしはそっと目を閉じた。

 うん。
 やっぱり、この曲、大好き。

 うっとりと、わたしは聴きほれる。
 この曲が数分で終わってしまうのが、残念。


 やがて、音楽が終わったとき、わたしはため息とともにまぶたを開いた。

 そして彼の、歌の解説があるかしらと思って、耳をすます。

『それでは、次が、本日のラストナンバーになります』

 耳にするだけでドキンと鼓動が高くなる、低くて胸にしみるような彼の声。
 あ、もう、そんな時間なんだ。
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