リフレインが聴こえない
 一時間目が終わった休み時間。
 秋ちゃんが身を乗りだして、わたしに聞いてきた。

「ねえ、菜花ちゃん。そういえば、中学校では全員、部活に入る決まりなんだけれど。菜花ちゃんはもう、どこの部に入るか決めたの?」
「え? ああ、部活かあ」

 そういえば、転校初日に、担任にもどこに入部するか、考えておきなさいって言われていたっけ。
 すっかり忘れていたわたしは、う~んと首をかしげた。

「部活ね……。わたしは本が好きだから、前の学校では図書部に入っていたのよ」
「そうなんだ。この学校にも図書部はあるよ」
「あ。よかった!」

 図書部があると聞いて、わたしはとても嬉しくなった。
 入りたいと思える部活があって、本当によかった。

「秋ちゃんは美術部だよね。この学校の部活動って、どんな感じなの?」
「う~ん。わたしは文化部しかわからないけれど、そんなに厳しいわけでもないかな」

 席に着いたまま、そんな話をしていたときに、教室の入り口のあたりが、突然ざわめいた。
 わたしと秋ちゃんも、なにげなく視線を向ける。

 すると。

 サラサラとしたショコラブラウン色の髪が、見えた。
 続けて、アイドルのようにきらきらとした空気をまとった、蒼くんの姿が。

 わたしは、一瞬で頬が熱くなる。

 え?
 なんで蒼くんがここに?

 蒼くんって、たしか隣のクラスだよね?
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