リフレインが聴こえない
 昼休み。
 わたしは秋ちゃんとhたりで、教室から逃げだした。
 目指したのは、校舎裏の芝生。
 そこでお弁当を広げた。
 もちろん、違うクラスから見にくる女子を避けるためだ。

 それに、秋ちゃんにはちゃんと、自分の口から事情を説明したいと思ったから。
 秋ちゃんは、相づちを打ちながら、わたしの話を途中で遮ることなく、最後まで聞いてくれた。
 そして、感嘆の声をあげる。

「へえ~。紫月くんの歌声に惹かれて寄っていって、付き合うようになるなんて。なんだか童話の世界のおはなしみたい」
「うん……。そうなの。わたし自身、まだ全然実感もなくて……」

 わたしは、こっくりとうなずいた。

 蒼くんから、オリジナルで作ったラブソングのことは、内緒にしていてって言われたけれど。
 この言い方なら、オリジナルソングだと言っていないし、状況自体はウソじゃない。

 大丈夫だよね?

「秋ちゃんには隠しごとはしたくないから言っちゃったけれど。歌が縁で付き合うようになったこと、みんなには内緒にしていてね」
「うん。わかってる。誰にも言わないよ」

 驚きつつも、面白そうに秋ちゃんは、約束をしてくれた。
 その様子から、秋ちゃんが蒼くんのファンじゃなくて本当によかったと、わたしは、ホッと胸をなでおろす。
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