リフレインが聴こえない
 生徒棟とは別に、職員棟がある。ふたつは、渡り廊下でつながっていた。
 職員棟の1階は、職員室と保健室が、廊下をはさんで向かい合っている。
 そのあいだの廊下を通り抜けると、さらにその奥に、向かいあって放送室と生徒会室があった。

 緊張しながら、わたしはひとり、生徒会室のドアの前に立つ。
 おそるおそるノックをすると、蒼くんが中からドアを開けてくれた。
 満面の笑みで出迎えてくれる。

「いらっしゃい! 菜花ちゃん。さあ、中へどうぞ。今日は、ほかの生徒会員は来ていなくて、きみにどうしても紹介したいふたりだけ、呼んでいるんだ」
「紹介したいひと?」

 蒼くんにうながされるままに、わたしは生徒会室へ足を踏みいれる。

 するとそこには、女子生徒と男子生徒が、長テーブルの周りに置かれた椅子に座っていた。
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