リフレインが聴こえない
 ――歌だ。
 
 歌が、聴こえてくる。


 でも、伴奏がない……?
 これは、誰かの鼻歌だろうか?

 ううん、違う。
 はっきりした歌詞は聴きとれない。

 けれど、ときどき意味のわかる単語が、まざって聴こえてくる。

 やわらかく響く、透明感のある低音……。
 これは、たぶん――きっと、男の子の声だ。

 そのうちに、何度も繰り返される、心に染み入るようなフレーズ。
 思わず、わたしも口ずさんでしまいそうな旋律……。

 すごく、ステキだ。
 わたしの好みだ。
< 5 / 227 >

この作品をシェア

pagetop