リフレインが聴こえない
 おにぃ、という言葉に、わたしは驚きながら、あらためて彼女の顔をまじまじと見る。
 そして、ようやく気がついた。

 よく見たら、彼女の艶やかな髪の色と潤んだ大きな瞳は、蒼くんと同じ、ショコラブラウン色。
 なんですぐに気づかなかったんだろう。
 この女の子、蒼くんの妹さんだ!

 ああ、この華やかでカッコいいイケメン生徒会長と、その可愛らしい妹。
 並んでも違和感のない、そっくりな美形兄妹だわ。
 納得!

 ――あっ!
 そういえば、昨日も中庭で、蒼くんは同じ中学校にきょうだいがいるっていっていたじゃない。
 そうか、この妹ちゃんのことなのね。
 わたし、勝手に男兄弟がいるって、思いこんでいたわ。
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