リフレインが聴こえない
 頭の中で、情報を整理していた私の横に立ち、蒼くんはにこやかに口を開いた。

「先日転校してきたばかりの、弓倉菜花ちゃん。これは運命だって思うくらいのひとめぼれで、付き合うことにしたんだ」
「その、どうぞ、よろしくお願いします……」

 蒼くんの紹介で、わたしは頭をさげる。
 彼女として紹介されて、よろしくってあいさつで、あっているんだろうか。

 すると、妹ちゃんは、さっきまでの探る目から一転して、かわいらしい笑みをニコッと浮かべた。

「おにぃの妹で、一年の美来(みくる)です。こちらこそよろしくね。おにぃのお守は大変だと思うけれど、ファイトですぅ」

 両手のこぶしを胸もとで振りながら、妹ちゃんが言った。

 ああ、可愛い子は、どんな動きをしても、可愛いわ。
 見ているわたしも、思わず微笑んじゃう。
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