リフレインが聴こえない
 ――きみのとなりにいるのは、いつもぼくでいたい

「ああ、この声、この歌。わたし、とっても好き……」

 なんて、目を閉じてぼんやりと聴きほれていたわたしだけれど。
 ふいに、ハッと我に返った。

 気がつけばもう、歌声は聴こえなくなっている。
 慌てて周りを見回して、渡り廊下の手すりの向こう側や、開いている窓を確認したけれど。
 誰の姿もない。


 そのうちに、昼休みが終わるチャイムが鳴りはじめてしまった。
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