リフレインが聴こえない
 蒼くん、周りの状況、気づいて!

 ここは、いまから全校集会が行われる全校生の前。

 全校生徒のアイドルである蒼くんが、女の子の手を取っているという緊急事態。

 集まっている生徒の好奇の視線が、チクチク痛いのよ!

 当然それ以上に、妬みと憎悪を帯びたファンクラブの方々の視線も、突き刺さってくるの!


「あの、蒼くん、そろそろ並ばなきゃ」
「うん。またあとでね」

 ようやく手を放してくれた蒼くん。
 そして、とびっきりの笑顔をわたしに向けたあと、朝礼台のほうへ駆け戻っていった。

 わたしは、急いで自分のクラスを探した。
 早くみんなの中にまぎれこまなきゃ、視線が辛い。
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