リフレインが聴こえない
 縦ロール一花は、わたしの姿を認めると、ずかずかと教室の中へ入ってくる。
 そして、固まっているわたしがお弁当を広げている机の上に、バンッと片手を置いた。

「ねえ、あなた。もうすぐ中間考査があること、ごぞんじかしら?」
「え? あ、はい」

 上級生なので、わたしは敬語で返事をする。
 そんなわたしに、縦ロール一花は顎をあげたまま、見下ろす目つきで言葉を続けた。

「そう。よかったわ。ところで、蒼くんと釣り合うために、当然あなた、学業でも優秀なのでしょうね」
「え?」

 わたしは、慌てて両手をブンブンと振る。

「そんなこと、全然ないです」
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