リフレインが聴こえない
「その、わたしって、あんまり勉強ができなくて」

 わたしは、おずおずと話しだす。

「前の学校でも真ん中くらいだったし。それに、転校したてでしょう? だから、今度の中間考査がすごく心配なの」
「そうなんだ」

 へえ~って顔で、蒼くんは、わたしを見る。

 ああ、やっぱり、おバカだって思われたかなあ。

 そう考えて、うつむいていたけれど。
 なんでもないことのように、蒼くんは言った。

「だったら、ぼくが勉強を教えてあげるよ。これでもぼくは、学年上位だよ? 一緒に試験勉強をしよう」
「え?」

 びっくりして顔をあげると、すぐそばで笑っている蒼くんと、目が合った。
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