リフレインが聴こえない
 次の日は、昼間は、秋ちゃんと一緒に行動していたせいか、ファンクラブは近づいてこなかった。
 中間考査の成績の賭けも、効いているのだろうか。

 中間考査一週間前に入っているため、ほとんどの部活動が活動停止になっている。
 そのせいか、六時間目のあとの担任からの伝達事項が終わると、クラスメイトはみんな、急いで帰りはじめる。
 秋ちゃんもそうだ。

「菜花ちゃんは、彼氏と、いまから図書室で勉強でしょう?」

 にやにやしながら、秋ちゃんはわたしを肘でつっつく。

「あ~。なんか緊張して、試験勉強がはかどるかどうか心配なんだけれど……」

 わたしは苦笑いを返す。

「それじゃあ、また明日ね。菜花ちゃん」
「うん。また明日」

 手を振りあって、秋ちゃんを見送ったわたしも、すぐに図書室へ行かなきゃ。
 蒼くんを待たせるわけにはいかないものね。
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