極上の愛に囚われて
極上の愛に囚われて


「すごい顔ぶれ……」

 私──間宮沙雪(二十八歳)は、華やかなパーティ会場の入口に立って呆然と呟いた。

 照明がきらきら輝く真新しいホールの中には、どの方向を見ても、作家、俳優、歌手など、TVでよく見かける人がいる。

「それは、やっぱり……小栗ホールディングスが経営するイベントホールのオープニングレセプションだもん。著名な人ばかりなのは、当然かも……」

 同僚であり友人でもある山下安奈も同様に口にする。

 当然と言えば、そう。小栗ホールディングスにはテレビCMや雑誌でよく見かける企業も多く、とてつもなく巨大なグループなのだ。

 来場者はみんな美しく立派な装いで、セレブなオーラが凄まじい。

 それに大手イベント会社の社員もちらほら見かけて、弱小イベント会社の社員である私たちは、場違い感が半端じゃない。

 だって、うちの会社が扱うイベントは小規模な展示会や講演会、各種パーティなどが中心で、このパーティに来ているような有名歌手や著名人のライブは、大手が請け負っているのだ。
< 1 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop