極上の愛に囚われて
四
会社の休日はカレンダー通りだけれど、イベントが週末や祝日に開催されることが多いので、平日に代休を取ることが多い。
だから今日と明日の二日間代休を取っている私は、のんびりとベッドに寝転んでスマホで動画を見ている。
子猫が五匹も生まれたママ猫の子育てぶりが可愛くて、見ているだけで癒される。
「猫を飼うのもいいなぁ」
ほわほわした気分でいると、ピコンとメッセージの着信を告げる音がした。
え……翔さん?
午前中からメッセージを送ってくるのはとても珍しい。
「どうしたのかな。ひょっとして、今日の約束キャンセル?」
嫌な予感を抱えながらアプリをタップした。
『今日は休みだったよね。午後の予定は空いてるか?』
『うん。なにもないよ』
『大切な話があるんだ。午後四時に料亭の秋山に来てくれないか』
料亭の秋山といえば、ブルームに通い始める前に彼と食事をしたところだ。タクシーに乗れば一時間もかからずに着く。
『了解です』
そう返事を返すも、腑に落ちなくて首を捻る。
話なら今夜ブルームですればいいのに、なぜ料亭の秋山なんだろう。しかも午後四時だなんて食事をする時間ではないから、ほんとうに話をするだけなのだろう。
「はっ、もしかして!」
とある可能性に思い至って、ベッドからガバッと身を起こした。